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「予約管理」の概要

「事前受注情報」とは、将来の納品に向けた事前注文を記録・管理するためのデータです。一般的には トランザクションデータ と呼ばれ、単なるメモではなく、「いつ・どの顧客に・どの商品を・どれくらいの数量で納品する予定か」をシステム上で正確に把握するための情報を指します。 酒蔵・酒屋の業務では、季節商品や限定商品、定期配送など、「あらかじめ決まっている注文」が多く存在します。これらを紙やExcelで管理していると、以下のような課題が発生しがちです。

  • 実際の受注登録を忘れてしまう
  • 生産や仕入の数量が「なんとなくの勘」に頼りがちになる
  • 社内で情報が共有されず、営業と倉庫で認識がズレる

FERMの「事前受注情報」は、これらの事前注文を一元管理し、将来の受注・納品につなげるための仕組みです。

  • 将来の納品に向けた事前注文を、受注前の状態として整理しておける
  • 事前受注を一覧で確認できるため、将来の出荷量のイメージがつきやすい
  • 事前受注からワンクリックで受注を作成できるため、日々の受注処理を効率化できる

事前受注を適切に管理しておくことで、実際の 受注管理在庫管理 を行う際に、「どれくらいの注文が将来発生する予定なのか」を前もって把握でき、業務全体がスムーズになります。


「事前受注情報」を管理する利点

Section titled “「事前受注情報」を管理する利点”

「事前受注情報」をシステムで管理することには、次のような利点があります。

  1. 将来の需要を事前に把握し、生産計画や仕入計画を立てやすくなる

    • 事前受注として登録された数量を集計することで、「来月の出荷予定」「今季の予約総数」などを簡単に確認できます。
    • 酒蔵であれば、仕込み量や瓶詰め数量の目安に、酒屋であれば仕入量や倉庫スペース確保の計画に活用できます。
  2. 顧客が定期的に注文する商品を事前受注として登録することで、毎回の注文作業を削減できる

    • 「毎週同じ銘柄をケース単位で納品している飲食店」「毎月決まった数量を仕入れる小売店」など、定期的な注文を事前受注に登録しておくことで、毎回同じ内容を入力する手間を減らせます。
    • 営業担当者は、あらかじめ設定された予約を確認するだけでよくなり、聞き取り漏れや入力ミスを防げます。
  3. 事前受注の数量を一括で調整することで、需要変動に柔軟に対応できる

    • 需要が予想より増えた/減ったときに、事前受注の数量を一括で増減させることができます。
    • たとえば、生産量の増減が見込まれる場合に、顧客ごとの予約確保数を一括調整することで、限られた数量を優先度に応じて効率的に振り分けし直すことができます。
  4. 事前受注を一括で受注に変換することで、業務効率が向上する

    • 指定した期間・取引条件に該当する事前受注をまとめて受注へ変換できるため、「毎週決まった曜日に一括で受注登録する」といった運用が可能です。
    • これにより、日次・週次の受注作業の時間を短縮し、事務担当者の負担を軽減できます。

「事前受注情報」は、さまざまな業務シーンで活用できます。代表的な利用用途は次の通りです。

  1. 定期配送商品の事前注文管理(例: 毎週月曜日に配送する商品の予約)

    • 飲食店や小売店向けに、毎週決まった曜日に特定の商品を納品する場合、1回ごとの受注ではなく、年間やシーズン単位で事前受注を登録しておくことができます。
    • これにより、「次回の出荷分をうっかり受注登録し忘れる」といったミスを防ぎます。
  2. 季節商品の事前予約管理(例: クリスマス商品、お歳暮など)

    • クリスマス用ギフトセットやお歳暮向け詰め合わせ、日本酒の新酒・季節限定酒など、時期が限られる商品の需要を事前に把握するために活用します。
    • 事前受注情報をもとに生産・仕入計画を立てることで、欠品や過剰在庫のリスクを抑えられます。
  3. 新商品の事前受注管理

    • 新商品発売前に予約注文を受け付ける場合、事前受注として登録し、発売日にまとめて受注・出荷に変換できます。
    • 発売前からどの程度の需要が見込めるかが分かるため、プロモーションや販促計画の判断材料にもなります。
  4. 顧客からの定期注文を事前受注として登録し、指定日に一括で受注に変換

    • 「毎月25日に翌月分を出荷する」など、あらかじめ決まったサイクルでの出荷に対して、事前受注をまとめて受注に変換できます。
    • 営業や事務担当者は、指定日に一括処理を行うだけでよくなり、日々の入力負担が減ります。
  5. 事前受注の数量を需要に応じて一括調整

    • シーズン途中で需要の増減が見込まれる場合、該当する事前受注を抽出し、数量を一括で増減させることで、現実の需要に即した計画に更新できます。

「受注情報」に記録される情報

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項目説明内容例
予約ID事前受注を一意に識別するID。履歴参照や検索に利用。R-2025-000123
顧客情報事前受注を発行する対象の顧客(顧客ID・顧客名)。C00045:酒場〇〇 様
取引条件この事前受注に適用する取引条件(価格・パッケージ・送料ルールなど)。受注変換時にも継承される。条件A:業務用卸先標準価格
予約の状況未確定/確定済/取消済など、進捗状況を表すステータス。確定済でないと受注への変換ができない。確定済
受注登録の状況未受注/受注登録。事前受注が受注に変換されたかどうかを示す。受注登録
商品コード/商品名商品マスタから参照して自動反映される基本情報。P-00123/純米吟醸 720ml
販売数販売単位でいくつ販売するかを表す数値。10
販売単位販売パッケージに基づく単位。本/ケース
単価取引条件に基づいて自動設定される価格。必要に応じて個別調整も可能。1,500円/本
合計価格販売数×単価の小計。事前受注の金額を把握するための金額。15,000円
合計販売数同じ商品が複数行に分かれる場合などに、合計された販売数。集計用に利用。120本
税率該当商品の消費税率。請求書作成時に自動適用される。10%
商品分類複数の商品をカテゴリごとにグループ化するための情報。帳票上の見やすさ向上に活用。日本酒/ワイン/ギフトセット など
予約作成日事前受注を作成した日付。管理画面や帳票のヘッダーに表示される。2025-10-01
備考顧客向けの補足情報(特記事項・注意事項など)。帳票に表示可能。納品時間帯指定あり/ギフト包装希望 など
社内メモ管理者・社内担当者向けの内部メモ。顧客には非表示。交渉履歴や注意点を記録。価格交渉中/過去に返品履歴あり など

「事前受注情報」は、顧客側・事業者側のどちらからでも作成できます。運用に応じて、片方のみ利用することも、両方併用することも可能です。

  1. 顧客による作成

    • 顧客が予約サイト(Web取引画面)から事前受注を作成します。
    • 流れのイメージ:
      1. 顧客がログインし、自社に紐づいた取引条件を選択または自動適用。
      2. 取引条件に紐づいた商品一覧から、予約したい商品を選択。
      3. 商品ごとに数量を入力し、事前受注として登録。
      4. 登録された予約は、事業者側の管理画面から確認できます。
  2. 事業者による作成

    • 社内の管理画面から、営業担当・事務担当が事前受注を作成します。
    • 流れのイメージ:
      1. 顧客を検索・選択。
      2. 顧客に紐づいた取引条件を選択。
      3. 商品マスタから対象商品を選び、数量や備考を入力。
      4. 事前受注を保存すると、顧客別・日付別などで一覧参照できるようになります。

どちらの方法でも、最終的には同じ形式の事前受注情報として登録されるため、その後の確認・集計・受注変換は同じ画面から行えます。


「事前受注情報」の管理の流れ

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  1. 顧客または事業者が事前受注を作成

    • 顧客・商品・数量・備考などを設定し、予約として登録します。
    • この時点では「未確定」の状態で保存されます。
  2. 事前受注を確定状態に変更

    • 内容に問題がないことを確認したら、予約の状況を「確定済」に変更します。
    • 確定後は、顧客情報や商品内容の大きな変更はできなくなり、誤操作による変更を防げます(数量の微調整など、許可された範囲のみ編集可能にする運用も考えられます)。
  3. 指定日になったら、事前受注を受注に変換

    • 出荷予定日や受注日を迎えたタイミングで、対象の事前受注を受注情報に変換します。
    • 1件ずつ個別に変換することも、後述の「まとめて受注」を利用し、一括変換することも可能です。
  4. 受注に変換された事前受注は、受注登録状況が「登録済」になる

    • 受注への変換が完了すると、事前受注情報の「受注登録の状況」が「受注登録」に更新されます。
    • これにより、「どの予約がすでに受注済みか」「まだ受注にしていない予約はどれか」を簡単に把握できます。
  5. 需要変動に応じて、事前受注の数量を一括調整することも可能

    • シーズン途中で需要見込みが変わった場合、該当期間・取引条件で絞り込んだうえで、予約数量をまとめて増減させることができます。

「事前受注情報」とその他の情報との関連性

Section titled “「事前受注情報」とその他の情報との関連性”
  • 事前受注の明細行は、商品情報(商品マスタ)を参照して構成されます。
  • 商品名、種別、単位、税率などの基本情報は、商品マスタから自動反映されます。
  • これにより、商品名の表記揺れや税率の設定ミスを防ぎ、帳票や請求情報との整合性を保てます。
  • 事前受注は、必ず特定の顧客に対して発行されます。
  • 顧客を選択すると、顧客名や取引条件、請求先情報などが自動反映され、入力の手間を減らせます。
  • 顧客別に予約状況を一覧表示できるため、「この顧客の今後の予約はどれくらいあるか」をすぐに確認できます。
  • 顧客に紐づいた取引条件を参照し、事前受注の初期値として「取り扱い商品・価格・送料ルール・最低注文数」などを反映します。
  • 取引条件が変わった場合でも、新たに作成する事前受注では最新の条件が反映されるため、条件の管理がしやすくなります。
  • 事前受注の内容を確定することで、受注情報に変換できます。
  • 変換された受注情報には、顧客・商品・数量・スケジュールなど、予約時点の情報が引き継がれます。
  • 受注情報から元の事前受注情報を参照できるため、「この受注はどの予約に基づいているか」を辿ることができます。

「事前受注情報」の予約の状況とは

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「予約の状況」は、事前受注が現在どの段階にあるかを示すステータスです。業務プロセスの把握や、処理漏れ防止に役立ちます。

予約の状況説明
未確定予約を作成した初期状態。全項目の編集・削除が可能で、「まだ社内確認中」「顧客と内容調整中」といった段階の予約です。
確定済内容が確定し、受注に変換できる状態。顧客情報や商品の大幅な変更はできなくなり、実務上確定した予約として扱われる。このステータスで初めて受注への変換が可能。
取消済何らかの理由で使用しないことになった事前受注。編集は行えず、履歴としてのみ残り、過去の交渉や見込みを振り返る材料として活用できる。

このように、「予約の状況」を表形式で管理することで、どの予約が処理対象なのか、どの予約は無効なのかを一覧で判別できます。


「事前受注情報」の受注登録の状況とは

Section titled “「事前受注情報」の受注登録の状況とは”

「受注登録の状況」は、事前受注が実際の受注に変換されたかどうかを示すステータスです。予約から受注への橋渡しを管理するための項目です。

受注登録の状況説明
未受注まだ受注に変換されていない状態。今後、指定日に受注変換する予定の予約や、検討中の予約がここに含まれます。
受注登録すでに受注情報に変換された状態。変換後の受注情報を開くことで出荷指示や請求処理など次の業務ステップへ進めることができ、「どこまで処理が進んだのか」を把握することで重複処理や登録漏れを防止できます。

「事前受注情報」の一括処理機能

Section titled “「事前受注情報」の一括処理機能”

事前受注情報には、業務の効率化を支援するための一括処理機能が用意されています。

  • 複数の事前受注の数量を一括で調整する機能です。
  • 取引条件や期間を指定して対象の事前受注を抽出し、その数量をまとめて増減させることができます。
  • たとえば、「今季の日本酒の需要が全体的に10%増えそうなので、該当期間の予約数量を一律で増やす」といった調整が可能です。
  • 複数の事前受注を一括で受注に変換する機能です。
  • 取引条件と期間を指定して対象の事前受注を絞り込み、そのすべてをまとめて受注登録することができます。
  • 「毎週金曜日に翌週分の予約をまとめて受注に変換する」といった運用により、日々の入力作業を大幅に削減できます。

これらの一括処理機能を活用することで、予約ベースの取引が多い酒蔵・酒屋でも、現場の負担を抑えながら緻密な計画管理を実現できます。